眠りはあなたを独占する
わたしは眠りに嫉妬する
わたしは羨望の眼差しであなたの眠りを見つめる
眠りはあなたに花を咲かす
眠るあなたは花が咲いていることに気づかない
咲く花に気付くことができるのは、
羨望で焼かれて眠れないわたしだけ
羨望もまた、あなたとわたしをつなぐ愛しい火
わたし、わたし、わたし、わたし、わたし、わたし、
わたしが太陽を歪め、隠し、無かったことにする。
まぶしいものはうとましい。
太陽はかつてわたしが見捨てたわたし自身のまぶしさそのもの。
太陽はひとつのわたし
ばらばらのわたしは、わたしわたしわたしの影に隠れ合う。
惨めに目を下にやる。
お姫様であることに現をぬかす時
月はあなたを喰いに来る。
月はあなたに絡みつき、あなたは月の影になる。
お姫様はもうそこにはいない。
月はあなたを刺し、痛みとともに、あなたは女神だった事を思い出す。
女神はいつも、深い苦悩と、憂鬱とともに立ち現れる。
鬱もまた、月の恵み。
祈るあなたは老婆のように咲く
あなたは月を編むように祈る
星を編みこむように祈る
その生命を宇宙に編み込むように祈る
祈りを咲かすために、
枯れるあなたはいとうつくしい
咲く花も、枯れる花も、
愛しいあなた
祈るほどに
その身体は枯れ
こころは萎れ
夜露のような涙だけが宇宙を濡らす
生命は赤く赤く
あなたは祈りとして咲く
あなたを暗くするものは
もうどこにもいない